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山本「そして、3年半振り!ようやくセカンドアルバム『アフターパーティーアットダンスフロア』がでると。いやぁ、危うくストーン・ローゼズを超えそうになったね。尋常じゃないくらいに時間はかかったけど、いいアルバムができた。満足!」
藤枝「ほんとに、時間かかったよね(笑)。実際、その間に、バンドのモードも3週くらいしちゃってて。でもその分、相当に鍛えられた感じはするね。アレンジも音もさ、トミーの良さであるキモい感じは活かしつつも、いい意味で聴きやすいし。」
山本「演奏もソリッドでタフになったし。やりたいことが明確になったと思う。いいものができる予感はビシビシきてたので、彼らの特徴を活かすために、エンジニアさんはエグいリズムトラックを扱えて、尚且つ、歌ものもしっかりやれる人でやりたかったんだよね。そういう意味でも狙い通りの音が作れたと思う。柏井日向さんというエンジニアさんに「ポップで踊れて、刹那さもある『ギャング・オブ・フォー』みたいなバンドがいるんですけど」って電話をして頼んだら、「そんなバンドがいたら俺が買いますよ」って(笑)。柏井さんは『SUGIURAM』とか『ニトロ・マイクロフォン・アンダーグラウンド』とかも手掛けながら、『キリンジ』とか『富田ラボ』の録りもやっていて、軸にパンク・ニューウェーブ感を持っている人なので、ばっちりかなと。実際、本当にいいコンディションでレコーディングできて良かった。」
藤枝「トミーの場合さ、実際にライブを目撃してる人と、CDのみを聴いた人の受け取り方にどうしても違いがでちゃうでしょう。メンバーの見た目やライブのステージングで色んな事を補完してると思うのね。『こんな人たち』が『こんな音を鳴らしてる』っていう所に意味があるというか、衝撃があるというか。それが、今回はCDだけでもリスニングに十分耐えうるというか、勿論それのみで評価してもらいたく無いんだけど。今回は、バンドのシーンとかに対する姿勢や音楽履歴的なバックグラウンドの滲み方もいいバランスだと思う。」
山本「バンドのいろんな側面にズレがなくなったからね。刹那でピースなハウスとかガラージとかのフロアライクなフィーリングが入ったバンドサウンドが出来上がったよね。もともとのハードコアやパンクな姿勢を保ちつつ上手く混ざり合ったし。しかも、頭で考えて融合させたんじゃなくて、ここ数年の彼らのマインドややってきたことが全てサウンドに結実したって感じ。そこがいい。リアルな音楽好きの感覚やライフスタイルをサウンドで表せたというか。」
藤枝「そうだね、これはなかなかマネできないよね。というかこういうバランスで成り立ってるバンドを見た事がないし、まぁ、こんな異常なスタイルはマネしようとも思わないけど(笑)。あとは、これを世の中がどう受け入れてくれるのか、あるいはまったく無視されるのか(笑)。」
山本「でも、こういう踊れるサウンドは今はちょうどいいと思うし、なによりこのリアル感とか、音楽との付き合い方みたいなものは世の中の音楽好きが感じているムードともあってると思う。いろんなものが選べる中で自分の好みをしっかりと持っている人の強さというか。」
藤枝「うん、『人間力』という意味では、相当に手強いよね。彼らは。実際に音楽に限らず彼らの持ってる情報量というのはもの凄いと思うのね。その膨大なアーカイブスの中からのチョイスや組み合わせのセンスも尋常じゃないし。ただ、ほおっておくと限りなくカルトな方向へ行ってしまうというか、リスナー無視というか。でも、今回はそういう膨大な背景を感じさせつつ、リスナーも無視してない音作りになってるというか。」
山本「最初に彼らと打ち合わせした時に大野君は富士山のイラストが大きく書いてある開襟シャツを着てて『目標はフジロックに出たいです』で真顔で言ってたじゃん。銭湯の壁の絵みたいなタッチのイラストのやつ(笑)。ギャグかなと誤解されるシャツのチョイスと発言の組み合わせなんだけど、いたって本人は真面目。しかもそのことには本人は気付いてなさそうな感じ。その時にカルトスターじゃなくて、ポップスターを目指している人なんだなって思った。去年Coa
Recordsでカーペンターズのトリビュート盤を出したのも大野君の言った言葉が実はきっかけ。今作をどういうふうに作ろうかという打ち合わせをしている時に彼が『僕はひんやりしたポップスをやりたいんです。エバーグリーンでみんなが聴いているヒット曲なのに、ひんやりしたポップスを』言ったんだよね。俺が『例えば誰』って聴いたら『カーペンターズ』と。はっとしたよね。カーペンターズをひんやりしたポップスと言い当てた鋭さに。それと言葉のキャッチ−さにも。カーペンターズの例を出すまでもなく、濃すぎる思いや人間ドラマをバックボーンにしているからこそ、言葉も人種も時代も超えて世界中に流れるエバーグリーンポップス足りえるわけだし。それがエバーグリーンミュージックの凄みなんだし。そういう音を目指してるんだなと思った」
藤枝「だからね、分かる人にはこのアルバムから溢れ出んばかりの『狂気の汁』みたいなのが伝わると思うしね。他のバンドとは根本的に違うというか、このどこのシーンにも属せない感じっていうのが今まではマイナスだったかも知れないけど、こういうクオリティのアルバムが出来るともうシーンとかまったく関係ないというかね。」
山本「猫も杓子もって感じでやたらと意味のない4つ打ちしてるギターバンドが多いけど、そんな4つ打ちとは違う信念が鳴ってるよね。強いサウンドが鳴らせてる。結局はその人が強いということなんだと思うんだけどね。」
次回は <第三章> 『日本人は30歳を過ぎてもまだまだ成長できる人種だ by オシム』です。
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