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山本「最初トミーを見たときが、渋谷屋根裏の普段はどよーんとしたフロアがきらめくようなダンスフロアと化してたんだよね?
ミラーボールがきらきら回って、白い光が放射線状に広がって。違うっけ、その頃はまだミラーボールはステージには置いてなかったっけ。」
藤枝「それはもうちょっと後だよね。最初はね、もう全然意味が分かんなかった(笑)。メンバ−全員が、明らかにワザとなんだけど、お揃いで胸にスゲーでかい字で『GAP』って書いてある服を着てて、ギターの人(目黒)はCCBみたいなインカム式のマイクを、これ見よがしにつけてるんだけど、終始一言も喋らないの(笑)。他にもツッこみどころが沢山ありすぎるんだけど、やっぱり印象としては、ボーカルの人(大野)が一目でわかるほどの異常な空気を出してて(笑)」
山本「ああ、ボーカルマイクを2本をクロスさせて立てて、それがやたらハウるからPAがボーカルの音量を上げられなくて、そんななかで尋常じゃない汗をかきながら、顔をゆがめて叫んでると(笑)。他のメンバーもばらばらのキャラ立ちをしていて、本当に尋常じゃなかったという。いたたまれない光景なんだけど、でも、そんな連中が最高にフロアをきらめかせながらポップにステージを成立させてだんだよね」
藤枝「そうだね。今でもステージが成立してるかは、かなり謎だけど(笑)。大なり小なり、毎回衝撃だけは残るよね。あと、当時から視覚的にもサウンド的にも情報量がハンパなく多かった。だから見てて飽きないし、さらに見知らぬバンドのライブを見て、観る側がおかしなテンションになるくらい勝手に身体が動くって、ああいうライブハウスとかだとあんまりないじゃん。メンバーに後から聞いたら『その時はたまたま良かった』って言ってたけど(笑)」
山本「フロアもみんな踊ってて。刹那で輝いていて、『この瞬間だけは!』みたいな空気がフロアに流れていて最高だった。屋根裏でそんな光景は期待してなかったから。。。なんか。奇跡みたいだったよね。そのやばいキャラも含めて。幸せで、どこか寂しくて、後のない一瞬みたいな。『神様。この瞬間だけは嫌なことも忘れさせて!』って。それはステージパフォーマンスの基本だよね。」
藤枝「彼らは、人としての存在が、もうすでに悲しいくらいに刹那的だからね。」
山本「そういう意味では昔のブラックミュージックとか、ロックの原型を持っているバンドなんだと思う。ダメな人が、何かしらの思いを込めて、ここでしか輝けないっていうパフォーマンスができるバンド。実際、ステージ降りるとダメだしね(笑)。トミー達は。まあ、フロアにいる連中も似たりよったりの人でさ。でも、そういう人たちも踊ってその時だけはきらめけばいいんだよ。彼女をラバーズなテンションで、ぎゅっと抱き寄せるとかさ。それが音楽のいいところなんだし。みんなが『嵐』じゃないんだよ。全員が『嵐』だったら問題ないけどさ。顔がよくて、頭の回転が速くて。みんないい才能持ってて。洒落が利いてて。二宮なんかクリント・イーストウッドに呼ばれてるしね。本当は俺のほうが呼ばれるにふさわしいんだよ。男としては。なんたって、今年の正月は元旦から『許されざる者』を見て気合を入れ直してるくらいなんだから。しかも、いっしょに借りたのが、マーティン・スコセッシの『レイジング・ブル』。女子理解不能な男のための闘う映画だよ。この激動のしょぼくれた業界でファイティング・イヤーを迎えるために、初詣じゃなくて、イーストウッドを見て、俺は襟を正してたんだよ。でも、俺には声がかからないんだよね。残念なんだけど。ほんと。残念。だって嵐じゃないからさ。ただ、良かったのが、その時はTSUTAYAに寝巻きのジャージのまま寝癖つけて行ってたんだけど、その2本を抱えてレジに並んでたら、かわいい女の子がCoa
RecordsのCDを抱えて同じ列に並んでたんだよね。愛おしさが俺の中に降りてきた。今年はいい年になるんだと確信した。同時に正月からそんなことしてるなんて、冴えない毎日を送っている娘なんだなとも思った。だから、そういう娘ほど、トミーを聴いて、最高に幸せで、最高に切なくて、胸いっぱいの思いを抱えて、踊ればいいんだよね。。。。。
(ハッと我に返って)で、、、話しが脱線したけど、実際、別のバンドをチェックしに行っていたんだよね。何度もそのバンドの事務所の人にライブに誘われていて『そろそろ見に行かないとやばいな』ってことで、ようやく足を運んだら、トミーザグレイトにびっくりしたという。」
藤枝「そう、一番最初のライブは、実は違うバンドのライブを見に行って。で、あまりにもトミーにびっくりして、そのまま楽屋に行って、CDを出させてくれと一方的にお願いして。で、事務所に戻って、彼らから貰ってきた物販用のデモ盤CDRみたいなのを山本さんに聞かせて。一緒に『これ、ヤバくね!?』とか盛り上がって。」
山本「それでバンドのホームページを見てみたら狂ってて。どんな人たちなのかまったくわからない(笑)。ダメ外国人のナイステイスト系の写真がいっぱいあって。」
藤枝「通常のバンドのホームページとしては、良くない例ね(笑)。トミーの全ての活動に言えるのは『でも、それでOK』みたいな空気感が全体に漂ってて、適当加減の美学なのか、たまたまなのか、それが全力なのか、常に分からないんだけど。でも印象としては何かがおかしいのね(笑)。その『何か』が『何なのか』は分かんないんだけど。で、もうこっちのディレクションとか一切いらないよね、っていう判断で最初はそのデモ盤をそのままマスタリングしてリリースしちゃうという。タイトルもそのままズバリで『トミーザグレイト、初期デモ音源集』。しかもその時のジャケットがギターの人がレイバンみたいなサングラスで一人ドアップで写ってる写真なんだけど、帯のキャッチに『俺達トミーザグレイトと申します。みてのとおり四人組です』って書いてあるの(笑)分かんねぇー、つーの(笑)」
山本「まあ、そうやって、ダメな人が輝いてスターダムを駆け上がれるのが、音楽のマジックだからさ(笑)。それを体現してくれそうな予感を感じたのが、トミーザグレイトとの出会いだったよね。」
藤枝「そう、それでその後キッチリとレコーディングしなおして、初期トミーの決定版ともいえるファーストアルバム
『DANCE WITH ME…a man said』が無事リリースされるんだけど、今聴き直してみると、やっぱりこのアルバムはトミーの初期のモード集なんだよね。踊れそうで、踊れないイビツな寸止め感というか、改めてこのCDスゲー気持ち悪いなって思って(笑)。あと、これ普通に考えたら売れないなーって(笑)。その後、もっとダンスミュージック寄りに傾倒していくんだけど、このころは全体にグシャっとしてるし、分かりづらいよね」
山本「前にボーカルの大野君が『髭』のことを『あのバンドの音は子宮にくる音だからフェロモンが出ていていい。婦女子に響く。でも、それに比べて僕らは愛撫ですかね。。。(苦笑)』って言ったことがあったんだけど、その愛撫を尋常じゃなくバランスも取れずに一生懸命にやって、それがサウンドになってるのがファーストアルバムの微妙なむずむず感なんだと思う。イビツな寸止め感だよね。それはそれで面白くていいんだけど、今の彼らの音はようやく本番の力を手に入れだしたところ(笑)。擬音で言うと『キュン』から『ジュン』を経て『ズン』に辿り着いた感じ。レゲエとかダブやクラブミュージックのイベントに行くと綺麗で経験値が高そうな大人のお姉さんが多いじゃない。あれって音のフェロモンによるところが多いじゃない。だから、今の音はお姉さん達にも聴いて欲しいね。たぶんわかってくれるよ」
次回は <第二章> 『セカンドアルバム「アフターパーティーアットダンスフロア」完成!!』です。
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